しゅぽしゅぽ万年筆を洗っていたら
いつの間にか12時をまわって
明日になっちゃった
誕生日のうちにやろうと思ってた小さな儀式
ペン先を洗って、インクを変えます
ひとり暮らしみたいな夜中の台所
冷蔵庫がもわーっと話しかけてくる
ガラスのコップの底で
万年筆のペン先だけが
ゆっくり水中呼吸している
「この立ち昇り方は、線香やな」
となぜか父親風につぶやいたら
開いた口からよだれが垂れた
どんどん薄くなる去年の私の色
忘れたいわけじゃないけど
消したいわけじゃないけど
まっさらになりたい
明日の朝起きたら、いの一番に
あたらしい深緑のインクに変えるぞよ
夜中の台所はたのしい